薬剤部長 挨拶
奈良セントラル病院は、薬師寺のあるエリアに位置し、回復期病棟を中心とした 111 床のケアミックス型病院です。
介護老人保健施設と有料老人ホームを併設し、病院と介護施設が一体となった造りは、日本の中でも稀有な機能であり、医療と介護をシームレスに繋ぐ重要な役割を果たしています。
当院の薬剤部は、30代の薬剤師が中心となり、チーム医療において薬物療法の有効性と安全性の確保に責任を持ち、患者さんにとって最良な薬物療法を提供することにより、
薬のプロフェッションとして患者さんに寄り添い続けることを使命としています。
その中で、『繋ぐ』役割を有する病院の私たちは、保険薬局の薬剤師へバトンを渡す最後の病院薬剤師として、
『ポリファーマシーの解消』と『病院で実施する残薬整理』を重要な課題と位置付け、近年積極的に取り組んでおり、
中小病院であることを言い訳にせず研究活動にも繋げています。
最後に少しだけ当院の薬剤部の取り組みや様子が伝わるエピソードを紹介します。
薬剤師は英訳すると“Pharmacist”ですが、海外の方、特に欧米の方に胸を張って“Pharmacist”と名乗れる日本の薬剤師はどのくらいいるでしょうか。
私が学生の頃に接した欧米の薬剤師は、患者さんや医師・看護師を含む全ての医療従事者から常に頼られ、自らの責任で薬物治療にあたる薬の専門家でした。
その時、日本の“薬剤師”と欧米の“Pharmacist”との間に乖離を感じ、本当の意味で『薬のプロフェッション』として活躍する欧米のPharmacistは、
私の目に格好良く映り、憧れの存在でした。
そんな私が薬剤師になり、薬剤部を取りまとめる立場になったある時、欧州の薬剤師と薬学部在学中の留学生をインターンシップ生として、当院で受け入れることになりました。
3日間という短い期間でしたが、当院の薬剤業務に触れ、共に働く中で「薬剤師の仕事は世界共通だね」と言われた時、
少しだけ憧れていたPharmacistに近付くことができたと感じました。“薬剤師”という言葉が“Pharmacist”と同義になる日を目指して、当院の薬剤部は患者さんに寄り添い続けます。
医療法人仁誠会 奈良セントラル病院
薬剤部長 仁宮 勇人
薬剤部理念・方針
理念
Mission
私たちが果たすべき使命
当法⼈の理念に基づき、
笑顔の連鎖する社会を実現する
Vision
私たちが⽬指す姿
薬のプロフェッションとして
患者に寄り添う
Value
私たちが共有する価値観
豊かな専⾨性と⾼い倫理観をもって、
安⼼・安全な薬物療法を提供する
方針
- ① 薬学の専門性を生かし、医療水準の向上に努める。
- ② 薬物療法における安全性と有効性の向上を目的としたプロトコルに基づく薬物治療管理を推進する。
- ③ 患者本位のチーム医療が行われるよう、他部門との協力体制の強化を図り、その調整に努める。
- ④ 地域保険薬局との連携強化による患者支援体制の充実を図る。
- ⑤ 医療事故防止のための医薬品の使用・管理に関して、より積極的な役割を果たす。
業務紹介
調剤・無菌製剤業務
処方オーダリングシステムを活用し、用法・用量、投与期間、休薬期間、併用薬などに問題がないか確認した上で、処方箋に基づき入院患者さんの薬を調剤しています。 尚、薬袋自動作成機・全自動錠剤分包機・散剤鑑査システムにより業務の効率化を図ると同時に、当該システムによって事故を未然に防ぐ仕組みにしています。 また、緩和ケア領域における医療用麻薬の無菌調整も実施しています。
病棟・薬剤管理指導業務
各病棟に薬剤師を配置し、入院患者さんの薬学的ケアを実施しています。PBPMを活用した持参薬鑑別、TDMによる投与量設計や処方支援、 ベッドサイドでの患者面談や服薬指導などの薬剤関連業務と共にカンファレンスへの参加や回診への同行なども行っています。 また、院内のタスクシフティング・シェアリングを推進し、患者本位の、かつ、安全で質が高く、効率的な医療の提供を目指しています。
医薬品情報管理(DI)業務
医薬品情報(DI)室では、薬物療法を適正に行うために必要な医薬品に関する情報を管理しています。 直接的には、適正な薬物療法に役立つ情報を広く収集・評価・加工して医師や看護師、他の医療スタッフに提供しています。 また、間接的には「患者さんの薬物療法の安全性を確保する」「有害事象を未然に回避する」「重篤化を回避する」 という病院薬剤師業務を支える業務と位置づけています。
薬薬連携業務
薬剤管理サマリーを活用した退院時の薬剤情報提供、疑義照会簡素化を目的としたPBPMの運用、ICTを活用したトレーシングレポート運用体制の構築、地域フォーミュラリー導入に向けた取組を中心に地域の保険薬局との連携を強化しています。
チーム医療の紹介
委員会・専門チームで、薬剤師が
中心的な役割を担っています。
医療安全管理委員会
薬剤師が医薬品安全管理責任者としてだけでなく、医療安全全体の責任者(医療安全管理者)として、 院内の医療事故防止に努めています。
感染対策委員会
AMR対策として抗微生物薬の適正使用の推進から、 ICTラウンドによる院内感染対策まで幅広く活動しています。
褥瘡対策委員会
褥瘡回診に薬剤師が同行し、 適切な薬剤の処方提案や薬剤滞留性の向上を目的とした実技研修を実施しています。
薬事委員会
医薬品の適正な管理と効率的な運用を目指し、有効性・安全性・経済性・合理性・フェアネスの観点から 院内採用医薬品を審議したり、PBPMの追加・改定やフォーミュラリーの策定も行ったりしています。
栄養管理委員会
病棟担当薬剤師と連携し、経腸・静脈栄養剤の摂取栄養量を算出したり、 嚥下・消化機能に影響を及ぼす薬剤をチェックしたりしています。
安全衛生委員会
薬剤師が法⼈の衛⽣管理者として、職員の健康を守ります。「公衆衛⽣の向上及び増進」を⽬的として、感染防護の視点に⽴った環境衛⽣、成⼈病予防・⺟⼦衛⽣等を含む対⼈衛⽣等の活動に取り組んでいます。
転倒・転落防止対策チーム
通称“コロバナイン”では、PBPMを活用し、 BZ系睡眠薬の使用量を減少させる取組を推進しています。
身体拘束最小化チーム
ポリファーマシーの解消を切り口に、 身体拘束を最小化する取組をチームの一員として薬剤師も活動しています。
採用コンセプト
当院薬剤部は、30代の薬剤師を中心に調剤業務から病棟業務まで、中小病院ならではの和気あいあいとした雰囲気でお仕事が可能です。回復期リハビリテーション病院の薬剤師である私達は、保険薬局の薬剤師へバトンを渡す最後の病院薬剤師として、ポリファーマシーの解消や残薬整理等を積極的に取り組んでいます。
急性期と在宅をつなぐ架け橋として、病院経験を有する方は勿論のこと、地域の薬局薬剤師として勤務されていた方も含め、病院経験の有無を問わず一緒に働ける方を募集しています。